日本画家のシルクスクリーン相場と価値Blog
私は趣味で片岡球子、前田青邨、奥村土牛、川合玉堂の限定版シルクスクリーンを集めています。 本当は東山魁夷や平山郁夫とかも欲しいんですけど、ちょっとお高いので、そこそこお求めやすいこの4人に絞って探しています。 ここでは、私の独断と偏見でシルクスクリーンの価値、相場、探す際の注意点をまとめてみました。 あくまでも個人的な意見なので、参考程度に読んでもらえればうれしいです。 また、私の集めているシルクスクリーンは、高くても15万円以下のものです。 平均すると5万円~10万円が相場の作品となります。 2025.01.15
目次シルクスクリーンの相場と価値
シルクスクリーン(版画)作品の相場は、作者の知名度や限定数、保存状態によって左右されますが、基本的には「長期的に安定」と考えてよいでしょう。
価値は相場だけでは決まりません。 その作品を自分がどれだけ気に入っているか、つまり半分は「自分にとっての価値」だと思います。
もちろん資産価値として見た場合でも、相場と同様に比較的安定傾向です。 とはいえ、やはり作者の知名度、限定数、保存状態などで確実に差が出ます。
作品の価値を左右する4つの要素
- 限定数が150部以下のナンバリング(HC版は除く)
- 桜、富士山、鶴(縁起の良いもの)など人気モチーフ
- 専用ケース・専用額が付属している
- 作者、監修などよる印(サイン・落款)がある
以上の4点が作品の価値に大きく影響する要素です。 なかでも「印(サイン・落款)は絶対条件」です。 これのない作品は、基本的に手を出さない方がいいでしょう。 私が集めている4人の場合、これら4つの条件をすべて満たしていて、価格が10万円以下であれば「買い!」といえます。 実際、こうした作品はヤフオクなどで、意外と簡単に見つかります。 そもそも集めている人が少ないため、「短期間で落札」といったことはまずないです。
限定数とHC版について
基本的に、限定数が少ない作品ほど価値は高くなります。 目安は150以下です。 200以上だと、その画家の代表作であっても、価値というか相場は下がります。 ただし、HC版(ホルシス・コピー)は例外です。 たとえ限定数が少なくても、HC版の価値は通常の半分程度になることが多いです。 例えば、相場10万円の作品でも、HC版だと5万円以下になると考えたほうがいいんでしょう。 その理由は、HC版は枚数が明確ではなく、「1/150」といった希少性に欠けるためです。 さらに市場に出回る頻度も高く、保存状態が悪いものも少なくないです。
一方、限定200以上の作品では、HC版の価値は通常のナンバリング版と同等か、それ以上になることもあります。
シルクスクリーンに限って言えば、現在、HC版を積極的に集めるコレクターは少ないと思います。 とにかく、HC版は希少性が微妙なのです。
私個人の意見としては「HC版には手を出すな!」です。 また、EA版は限定数に限らず、最も価値の高いものとなります。
人気のモチーフについて
最も価値が高いのは、その画家の代表作です。 それに次いで評価されやすいのが、桜・富士山・鶴といった「縁起の良いモチーフ」を扱った作品です。 これらは日本らしさを象徴する題材であり、どこに飾っても違和感がないことから人気です。
世界的にも、日本を代表するイメージといえば「桜・富士山・鶴」が定番です。 梅、バラ、立山、阿蘇山、ツバメ、スズメなどは、やや個人的で地域性にも欠けるため、評価されにくい傾向があります。
ただし、桜・富士山・鶴はモチーフとしては少なくないですが、頻繁に描かれるわけでもありません。 そのため、こうしたモチーフが含まれる場合のみ、やや価値が上がると考えてください。
ケースと額について
専用ケースと額は、ある意味で欠かせない条件です。 このどちらもない作品は、保存状態が悪いと考えるべきです。 逆に両方そろっていれば、ケースや額の状態に難があっても、作品本体の状態はある程度は保証されると思います。 両方とも揃えると、数万円はかかるものなので、そういった点でも、ないと価値は大きく下がります。
印(サイン・落款)について
限定数のあるものは、作品の四隅のいずれかに、「1/150」「1/250」といったナンバリングが必ず入っています。 さらに、額や箱に「作者名・作品名・監修・技法・用紙・刷り師・限定数」などを記した承認印があります。 この2つの存在しない作品は、本物と断定する根拠が乏しいので買ってはいけません。
価格に関係なく、コピー品が多数出回っているのが現状です。 オークションやショッピングサイトで作品を探す際は、ナンバリングと承認印の写真を必ず確認してください。 この2つの写真を掲載していることが、必須条件と考えてください。
どこで探す
これはかなり難しい問題です。 現状、安価なシルクスクリーンをインターネットで探すなら「ヤフオク一択」と言ってよいでしょう。 メルカリは出品者とのやり取りがしづらく、美術品に関しては規制も甘いため、偽物も多く最も避けるべきです。 Amazon、楽天市場、ヤフーショッピングといったショッピングサイトでも、コピー品が当たり前のように販売されているため、慎重になる必要があります。 こういった点から、消去法的にヤフオクが最有力となります。
ヤフオクにも偽物はあります。 しかし、古くから運営されているオークションサイトなので、出品者の「評価」である程度の見極めが可能です。 評価数80以上で、悪い評価がない出品者であれば、一定の信頼を置いてよいと思います。
私もヤフオクで、同じ個人の出品者から2点購入したことがあります。 どちらも相場より安く、状態も非常に良好でした。 しかしその後、「◯◯画廊」と名乗っている別の出品者から購入したシルクスクリーンは、完全なコピー品でした。 というより、カラープリンタで出力しただけの粗悪なもので、さすがに酷すぎです。 ヤフオクに通報した結果、全額返金され、該当の出品者は現在利用停止になっています。
また、美術品専門のオークションサービスは最も信頼性は高いです。 しかし、10万円以下のシルクスクリーン作品を探している場合、登録料や手数料などを考えると、確実に割高になります。
私は現在、限定数150以下のシルクスクリーンを12点所有しています。 そのうち2点は、フリーマーケットで購入しました。いずれも1万円台で手に入れた掘り出し物です。 近くでフリーマーケットが開催されていれば、覗いてみるのも一つの手です。
集めはじめたきっかけ
最後に集め始めたきっかけを書いておきます。 私がシルクスクリーンを集め始めたきっかけは、父が残してくれた片岡球子や前田青邨の作品を見つけたことでした。 シルクスクリーンが3点あり、どれもとても美しかったのです。 それまで物置同然だったロフトの壁に飾ってみたところ、もっと作品を飾りたいと思うようになり集め始めました。
現在は12点のシルクスクリーンをロフトの壁に並べ、その前にはガンダムフィギュアが並んでいます。 少し異様な光景ですが、意外によく合うんです。 片岡球子、前田青邨、奥村土牛、川合玉堂も、まさか宇宙世紀とコラボさせられるとは思っていなかったでしょう。